2004/08/11
解説に「もし、忙しい人が、三島の小説の中から一編だけ、三島のよいところ悪いとこをを全て凝縮した小説を求めたら『憂国』の一編を読んでもらえればよい」と書いたことがあり、この気持ちには今も変わりがない、と書かれてます。
逆に花ざかりの森は、1年前(18歳の頃)に書いた作品と比べて「私はもはや愛さない」とえらく突き放されてます。自決される2年前です。
短編の題に「花ざかりの森」が入ったのは出版社の意向でやむなく選ばれたそうです。
かの女は森の花ざかりに死んで行った
かの女は余所にもっと青い森のある事を知っていた
シャルル・クロス散人
私は花ざかりの森の冒頭にある引用された一文が大好きです。リルケも好きです。
花ざかりの森の内容はさっぱり覚えてませんが、憂国は情景が浮かんできます。
三島さんは果てなく遠いですが、出版社の人の気持ちは少しわかる気がします。
花ざかりの森・憂国